大正ロマンが香る街、歴史遺産を訪ねたい
「小倉・門司」エリアの観光音声ガイド14選

北九州・小倉・門司エリア
TOURIST Guide編集部
西貴輝

北九州・小倉・門司エリア

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北九州を代表する都市として知られている小倉、門司には、古代から日本の玄関口として栄えてきた長い歴史があり、今も市内の随所に数多くの歴史遺産が残されています。
それらの施設は明治末期から大正初期に建てられたもので、この時代の小倉、門司は大陸との貿易の拠点として大いに賑わい、商社、行政機関、商業施設、文化施設などが集結したのでした。
現存する施設の多くは、近年になってリニューアル工事を受けて創建時の美しい姿を取り戻し、往時を偲ぶ貴重な存在となっています。
殊に門司港に面した臨海地区には貴重な歴史遺産が軒を連ねるようにして並び、「門司港レトロ」の名でも親しまれ、北九州を代表するスポットに成長しました。
そのほかにも、美術館や博物館などが数多く建つ門司、小倉では、今も伝統を大切にする、独自の文化が守り続けられています。


門司港駅舎

A 門司港駅舎

九州鉄道記念館

B 九州鉄道記念館

門司港レトロ

C 門司港レトロ

門司港レトロ海峡プラザ

D 門司港レトロ海峡プラザ

出光美術館(門司)

E 出光美術館(門司)

旧門司三井倶楽部

F 旧門司三井倶楽部

門司電気通信レトロ館

G 門司電気通信レトロ館

北九州銀行レトロライン 門司港レトロ観光列車 潮風号

H 北九州銀行レトロライン 門司港レトロ観光列車 潮風号

和布刈神社

I 和布刈神社

北九州市立いのちのたび博物館

J 北九州市立いのちのたび博物館

北九州市立美術館

K 北九州市立美術館

北九州市旧大阪商船

L 北九州市旧大阪商船

小倉城

M 小倉城

北九州市立松本清張記念館

N 北九州市立松本清張記念館

スポット紹介

門司港駅舎

もじこうえきしゃ

門司港駅舎
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JR鹿児島本線の門司港駅が開業したのは1891年(明治24年)のこと。当時の駅名は門司で、現在の鹿児島本線の建設を手がけた明治の私鉄、九州鉄道が、本州との連絡にも便利な関門海峡に面した場所にターミナル駅を設けたのがその始まりです。
駅は1914年(大正3年)に200メートルほど移転し、ネオルネサンス様式と呼ばれる、重厚なデザインの駅舎の使用が開始されます。
1942年(昭和17年)には関門トンネルが開通し、新しい門司駅が作られたことから当駅は駅名を門司港駅に改めますが、鹿児島本線のターミナルという位置づけは変わることがなく、駅舎は1988年(昭和63年)に鉄道の駅で初めて、国の重要文化財に指定されています。
そんな門司港駅舎も近年は老朽化が目立ち始めたことから、2012年に保存修理工事を開始。工事に際しては駅が開業した時の姿が復原されるよう留意され、1階に設けられた待合室や、2階に設けられた食堂も大正時代の姿を再現。新しい駅舎は2019年3月10日にグランドオープンを迎えました。

九州鉄道記念館

きゅうしゅうてつどうきねんかん

九州鉄道記念館
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九州鉄道記念館は、2003年(平成15年)8月に開館した、九州を代表する鉄道専門の記念館です。建物はJR門司港駅を見下ろす丘の上に建っていますが、このレンガ建ての建物は、現在のJR鹿児島本線の建設を手掛けた明治時代の私鉄である九州鉄道が、自社の本社として建てたという由緒あるもので、2007年(平成19年)には国の近代化産業遺産に、2014年(平成26年)には登録有形文化財に指定されています。
館内には九州鉄道が使用した小型木造客車や、鉄道関連のさまざまな資料、鉄道模型レイアウト、運転シミュレーターなどが展示され、屋外には、C59形蒸気機関車、EF10形電気機関車、クハ481形電車、スハネフ14形など、九州各地で活躍した合計9両の車両が展示されています。
また、屋外にはJR九州の現役車両をスケールダウンしたミニ列車が走り回るミニ鉄道公園もあり、家族全員で楽しみながら、九州の鉄道の歴史を学ぶことができる記念館となっています。

※現在、新型コロナウイルス感染拡大防止の為、一部の施設・体験を制限させて頂いております

門司港レトロ

もじこうれとろ

門司港レトロ
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明治から昭和初期にかけて、日本の玄関口として栄えた門司港に面した臨海地区に、当時の面影を残す古い建物が集結している一角があります。それが門司港レトロです。
門司港は大陸が近いことから貿易の拠点として栄え、商社や大手銀行が競って支店を出したことから、独特の景観が生まれたのです。
戦後は貿易の拠点がほかに移ったことから低迷の時を過ごすことになりますが、時代が平成を迎えた頃から、この地区に残った歴史遺産を積極的に活用しようという機運が市民の間から生まれて、再整備が開始されます。
そして1995年(平成7年)に門司港レトロとしてリニューアルオープンが果たされたのです。
 今は古い建物ばかりでなく、焼きカレーなどの新しい名物が知られるようになり、また、門司港の夕日の美しさや、日本新三大夜景に選ばれた、門司港レトロを含む北九州市の夜景の美しさも認知度がアップ。観光スポットとしての魅力がさらに高まっています。

門司港レトロ海峡プラザ

もじこうれとろかいきょうぷらざ

門司港レトロ海峡プラザ
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門司港レトロの中心部で海に面して建つ門司港レトロ海峡プラザは、お土産もの、海産物、雑貨、そしてグルメのお店が並ぶ複合商業施設です。
いかにも港町のものらしい、船や海を思わせるアンティークグッズを揃えたショップや、地産の海の幸が楽しめるレストランがずらりと並んでいるのは、このスポットだけの魅力。
オルゴール作り体験、ガラスエッチング体験、ジェルキャンドル体験などの手作り体験イベントや、大道芸や音楽演奏などが随時開催されているのも、このスポットの大きな魅力。
甘党の方は、バナナのたたき売り発祥の地門司港にちなんだ、バナナテイストのスイーツをどうぞ。

出光美術館(門司)

いでみつびじゅつかん もじ

出光美術館(門司)
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出光美術館(門司)は、出光興産の創業者である出光佐三が長年にわたって収集した美術品を中心に展示するために作られた美術館です。
東京丸の内にある出光美術館に次いで、佐三ゆかりの地である門司に2000年(平成12年)にオープンしました。
展示は書画、陶磁器など東洋古美術が中心で、年5〜6回の展覧会を通して紹介しています。
開館当初は倉庫を改装したものでしたが、2016年(平成28年)にはリニューアル工事が完成し、レンガ調の外観へと生まれ変わり、美術品をゆっくり鑑賞できる空間となっています。
併設の出光創業史料室では、実際の資料や映像とともに、小説「海賊とよばれた男」のモデルともなった佐三の生涯と出光興産の歩みを紹介。彼が活躍した時代に思いを馳せることができます。

旧門司三井倶楽部

きゅうもじみついくらぶ

旧門司三井倶楽部
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旧門司三井倶楽部は、三井物産門司支店の社交クラブとして、1921年(大正10年)にオープンしました。その後1949年(昭和24年)から昭和62年(1987年)までは、現在のJRの前身となる日本国有鉄道、すなわち国鉄の所有物となり、門鉄会館という名前で使用されていましたが、国鉄が分割民営化され、JRが発足したのを機に北九州市へ譲られ、1990年(平成2年)3月には、国の重要文化財に指定されました。
歴史的価値のある建物を有効活用するために、この年から移築作業が開始され、建物は門司区谷町から現在の場所へと移されています。
建物は大正ロマンをたたえるアールデコ調のデザインで、柱や梁に使用されている木材を外に出すハーフティンバーと呼ばれるスタイルも、歴史を感じさせます。
館内2階にある林芙美子資料館では門司出身の作家の足跡を知ることができ、同じく2階にあるアインシュタインメモリアルルームは、世界的科学者が三井倶楽部に宿泊した時に使用した部屋が当時の姿のままで保存されています。
また、1階には和風レストラン三井倶楽部があり、食事やお茶を楽しむことができます。

門司電気通信レトロ館

もじでんきつうしんれとろかん

門司電気通信レトロ館
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門司電気通信レトロ館は、1924年(大正13年)に逓信省門司郵便局電話課庁舎として建てられたビルを活かし、建物の1階部分に明治の初めから現代に至るまでに使用された電話機、交換機など、さまざまな通信用機器を展示した電話の歴史資料館です。
館内には、グラハム・ベルが発明した電話機を始めとし、国産第1号の電話機や、同時代の電話交換機、1900年(明治33年)に初めて登場したという公衆電話ボックスを復元した模型など、貴重な資料が多数並んでいます。
電信・電話の発展や人びとの暮らしに密着した公衆電話の移り変わりがわかるとともに、体験コーナーでは、クラシカルなスタイルの電話機で会話し、自動交換機が作動する様子を見ながら、電話のつながる仕組みを知ることができます。
門司港レトロにマッチしているクラシカルな建物は、近代化産業遺産に認定されています。

北九州銀行レトロライン 門司港レトロ観光列車 潮風号

きたきゅうしゅうぎんこうれとろらいん もじこうれとろかんこうれっしゃ しおかぜごう

北九州銀行レトロライン 門司港レトロ観光列車 潮風号
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門司港レトロ観光線「潮風号」は、九州鉄道記念館駅と、関門海峡めかり駅を結ぶ全長2.1キロメートルの鉄道です。
門司港レトロに残っていた貨物線の跡を整備して、門司港レトロを訪れた観光客を運ぶ路線として、2009年(平成21年)4月26日に運転が開始されました。
列車はトロッコ客車2両を2両の小型のディーゼル機関車が挟みこむ形で引くもので、1日に概ね11往復の運転をしています。
2両のトロッコ客車は、もともとは貨車として作られた車両を改造したもので、開放感は抜群。運転されるスピードは、最高時速15キロというのんびりしたものですが、門司港レトロの街並みを眺めるのにはぴったりです。
終点の関門海峡めかり駅の手前には本格的なトンネルがあり、全線に設けられた4つの駅は、それぞれが沿線の観光スポットへの玄関口となっています。

和布刈神社

めかりじんじゃ

和布刈神社
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関門海峡に面して社殿が建つ、九州最北の神社が和布刈神社です。
創建は西暦200年(仲哀天皇9年)と伝えられる歴史ある神社で、関門海峡の守り神として、この地を治めた多くの豪族、武将からの崇拝を得ていました。
神社の名前となった和布刈には、ワカメを刈るという意味があり、毎年の旧正月の未明には、神職に携わる3名が松明・手桶・鎌を持って海に入り、ワカメを刈り採って神前に供える和布刈神事が行われています。この様子は松本清張の小説、時間の習俗の冒頭にも描かれ、「この瞬間、時間も、空間も、古代に帰ったように思われた。」という幻想的な風景を連想させる描写が話題となりました。
神社の目の前に広がる海は、はやともの瀬とも呼ばれる流れの急な場所。航海の安全を願ういにしえ人が、この地に神社を建てたのでしょう。
古くなった人形、おもちゃ、お守りなどを供養してくれる「人形供養」の神社としても知られる和布刈神社。参拝の折には御朱印を頂き、記念とするのも良いでしょう。

北九州市立いのちのたび博物館

きたきゅうしゅうしりつ いのちのたびはうぶつかん

北九州市立いのちのたび博物館
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北九州市立自然史・歴史博物館は、地球の誕生から今日にいたるまでの、自然と生命の歩みを紹介した西日本最大級の規模を誇る自然史・歴史博物館で、「いのちのたび博物館」という名前でも親しまれています。
館内の展示物は、来館者が見て楽しむことも重視して、エンタテイメント性を備えた展示となっているのが大きな特徴で、恐竜の等身大の模型や、リアルな動きをする恐竜ロボット、コンピューターグラフィックを駆使して、古代の海の中を表現したジオラマが高い人気を得ています。
そのなかでも日本にあるのはここだけという恐竜ティラノサウルスの巨大な骨格レプリカや、色とりどりの昆虫の標本は大人も夢中になれると評判。
また、貴重な歴史資料も充実しており、人々の暮らしの変遷を知ることができます。北九州の伝統的な夏祭りの山車・山笠も一堂に並んでいます。

北九州市立美術館

きたきゅうしゅうしりつびじゅつかん

北九州市立美術館
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北九州市立美術館は、北九州市の市街を見下ろす小高い丘の上に建っています。
市民の生活に潤いと心の豊かさを創出し、地域とともに成長していく美術館を基本的な理念とし、西日本における公立美術館の先駆けとして1974年(昭和49年)に設立されました。
クロード・モネ の『睡蓮、柳の反影』や、ジャン=ミシェル・バスキア『消防士』などの名作が所蔵され、市民参加型の美術館を目指すという方針から、美術ボランティアなど、市民の美術に対する理解を進める活動が積極的に展開されていることでも注目されています。
親子で参加できるワークショップなども開催されています。
また2003年(平成15年)には、小倉城に隣接するリバーウォーク北九州の5階に分館が開設され、企画展が随時開かれています。
本館、およびアネックスを設計した建築家、磯崎新氏は、2019年のプリッカー賞を受賞しました。この賞は「建築を通じて人類や環境に貢献をした」建築家を1年に1名表彰するもので、「建築界のノーベル賞」とも呼ばれています。日本人では8人目の受賞です。

北九州市旧大阪商船

きたきゅうしゅうしきゅうおおさかしょうせん

北九州市旧大阪商船
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北九州市旧大阪商船は門司港レトロの一角に建つ歴史的建造物で、1999年(平成11)年に国の登録有形文化財に指定されました。
1917年(大正6年)に大阪商船の門司支店として建てられ、オフィス、海外航路利用客の待合室などとして1991年(平成3年)まで使用されたのち、北九州市が建物を買い取り、その後はギャラリーなどとして使用されています。
現在は、1階が「わたせせいぞうと海のギャラリー」と、この地域で活躍する作家の作品を販売する「門司港デザインハウス」、2階が「貸しホール」となっています。
オレンジ色のタイルがあしらわれた建物の外壁と八角形の塔が、門司港レトロの中でもひときわ目立つ存在となっています。

小倉城

こくらじょう

小倉城
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小倉のシンボルの一つとなっている小倉城は、戦国時代の末期となる1569年(永禄12年)に、中国地方を拠点としていた毛利氏がこの地に城を築いたことが、その始まりと言われています。
その後、1602年(慶長7年)には関ケ原の戦いでの功績が讃えられる形で入国した細川忠興によって本格的な築城工事が開始され、工事の完成までには7年が要されたと言います。そして、天保8年(1837年)に起こった火事で城は全焼。
この2年後には城が再建されていますが、天守閣が再び築かれることはありませんでした。幕末期の1866年(慶応2年)には、小倉城は長州征伐に出兵した小倉藩の基地として利用されましたが、小倉藩の兵が撤退する際に火が放たれ、城は再び消滅したのです。
現在の天守閣が復原されたのは1959年(昭和34)年のことで、この時に「唐作りの天守」と呼ばれる勇壮な姿の天守閣が復活しました。
5階部分が4階よりも大きく造られていることが、その特徴です。
現在の小倉城は桜の名所として市民の憩いの場となっています。
城内には大手門、着見櫓など、往時の姿を伝える遺構が数多く残り、天守閣の中にも、小倉の城下町の姿を再現したジオラマなど、歴史を学ぶことができる資料が数多く展示されています。

北九州市立松本清張記念館

きたきゅうしゅうしりつ まつもとせいちょうきねんかん

北九州市立松本清張記念館
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北九州市立松本清張記念館は、「点と線」「ゼロの焦点」「砂の器」「霧の旗」など、数多くの名作推理小説を執筆し、1992年(平成4年)に82歳で亡くなった作家松本清張の業績を讃え、その仕事を後世に伝えるべく、清張の郷里である小倉に1998年(平成10年)8月にオープンしました。
館内では様々な展示品やグラフィックによって、清張の生涯が解りやすく解説されているほか、東京都杉並区高井戸にあった清張の自宅の、書斎、書庫、応接室が再現されたコーナーもあって、清張の作家活動を偲ぶことができます。
また、生前に交友のあった編集者が、清張の人柄を語る映像作品も常時放映されていて、身近な者だけが知っていた清張の人柄について知識を深めることができるのも、清張ファンには嬉しい情報となっています。
記念館が建っているのは、小倉城址の一角。記念館と一緒に小倉城を見学するのも、楽しい散策のコースとなるでしょう。

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