中世・近世の歴史が香る街
福岡県の古都 太宰府・久留米エリア
太宰府・久留米エリア
太宰府市は福岡県中西部に、久留米市は福岡県南西部に位置し、それぞれ地域の中核として発展を続けてきた町です。
太宰府市は古く7世紀後半に、この地に地域の行政機関である太宰府が置かれたことから発展が始まり、江戸時代には太宰府天満宮の門前町としても栄えたという長い歴史を有しています。
一方の久留米市も、旧石器時代にはこの地に人が住み始めたと言われ、古代国家の行政機関である国府がこの地に置かれたことが、その後の発展のきっかけとなりました。
そして、江戸時代には有馬藩21万石の城下町として栄え、その賑わいは明治以降にも引き継がれてゆきます。
そんな長い歴史のある二つの市だけに、どちらの市内にもいたる所に歴史を物語る歴史遺産が数多く残され、現代人の生活にも溶け込んでいます。
この二つの街を歩き、日本の歴史について今一度、思いを馳せてみてはいかがでしょう?
A 太宰府天満宮
B 菅公歴史館
C 天開稲荷神社
D だざいふ遊園地
E 九州国立博物館
F 竈門神社
G 北野天満宮
H 久留米百年公園
I 久留米森林つつじ公園
J 久留米市美術館
K 成田山久留米分院
L 石橋文化センター
A
太宰府天満宮
だざいふてんまんぐう
福岡県太宰府市宰府にある太宰府天満宮は、全国に12,000社ある天神さま、すなわち菅原道真公をお祀りする神社の総本宮です。
創建は905年(延喜5年)。今日では年間におよそ1,000万人の参拝が訪れる、九州屈指の神社として知られています。太宰府天満宮の御祭神である菅原道真公は、学者、政治家などとして多方面で活躍しましたが、57歳の時に、左大臣(さだいじん)藤原時平(ふじわらときひら)の政略によって左遷され、以後、太宰府の地から外に出ることはなく、59歳でこの世を去っています。
その後、道真公の無実を知った朝廷は、名誉の回復に務め、道真公が子供の頃から学問に秀で、その才能を活かして国を発展させたことから、学問の神様として知られるようになりました。
御本殿は国宝、国の重要文化財に指定され、境内に立つ大クス、ヒロハチシャノキは、国の天然記念物に指定されています。そのほかにも境内には6千本もの梅、3万本の花菖蒲などが植えられ、豊かな緑と共に、四季それぞれの美しさがたたえられています。
お祭りなどの催しも随時行われていることも、参拝者の大きな楽しみと言えるでしょう。
B
菅公歴史館
かんこうれきしかん
菅公歴史館は、太宰府天満宮の御本殿の裏に建つ、菅原道真公の生涯を紹介するミュージアムです。
館内では装束をつけた博多人形のジオラマ、あるいは玩具、絵馬などによって、道真公の生い立ちを様々な角度から学ぶことができます。
見どころの一つとなっているのが、日本全国から収集された天神人形です。
道真公をかたどった天神人形は、江戸時代には全国で作られるようになり、郷土色に彩られた様々な姿のものが生まれました。
当歴史館に集う天神人形も、材質、制作の技法は実にバラエティ豊かで、道真公を祀る天神信仰の広まり、多様性を窺うことができます。
一体50センチほどの高さがある博多人形がずらりと並ぶ姿は壮観。精密な作りで、それぞれに異なる味わいのある人形をじっくりと観察してみましょう。
道真の生涯、そして道真を祀る民衆の切なる思いをうかがうことができます。
C
天開稲荷神社
てんかいいなりじんじゃ
天開稲荷神社は、太宰府天満宮の広い境内の、御本殿よりもさらに奥まった場所に鎮座する神社です。
鎌倉時代の末期に京都の伏見稲荷から分霊、すなわち神様を分ける形で創建され、九州でもっとも古いお稲荷さんとして親しまれています。その名前が示す通り、「天に道が開け、運がどんどん良くなってゆく神様」と信じられていることから、今も多くの参拝者が訪れています。
太宰府天満宮の御本殿裏から続く参道は木立の中に延びる心地の良いもので、特に紅葉の時期の美しさが知られ、小高い丘の上に建つ拝殿に続く石段には、どこか京都の伏見稲荷にも似て、赤い鳥居がいくつも並んでいます。
そして、こじんまりとした拝殿の奥に、「奥の院」があります。
やはり赤い鳥居が並ぶ細い道の先に設けられているのが小さな石室。ここがこの神社の奥の院で、地元の人からは霊験あらたかなパワースポットとして親しまれています。
D
だざいふ遊園地
だざいふゆうえんち
だざいふ遊園地は、太宰府満宮の境内に作られている遊園地です。オープンしたのは1957年(昭和32年)10月。当時の名前は「だざいふえん」で、太宰府天満宮から3万平方メートルの敷地を借り受け、お詣りと共に、子供が楽しめる施設として遊園地が作られました。
現在の遊園地は2005年(平成17年)にリニューアルオープンを実施。これと同時に名称も「だざいふ遊園地」に改められています。園内には、「トレインコースター」「ラッキーメリーゴーランド」「こども汽車」、さらには新登場の子供が乗れる動物形バッテリーカー「パンダカーの森」など、およそ20種類のアトラクションが備えられています。
これらの乗り物には年齢、身長制限を設けており、小さなお子さまは18歳以上の保護者に付き添いいただければほとんどのアトラクションが利用可能になります。料金もリーズナブルで家族揃って楽しむことができる遊園地です。
E
九州国立博物館
きゅうしゅうこくりつはくぶつかん
九州国立博物館は、東京、奈良、京都に次ぐ国内4番めの国立博物館として、太宰府天満宮に隣接する丘陵地帯に、2005年(平成17)年10月に開館しました。先の3つの国立博物館が美術系であるのに対し、九州国立博物館は歴史系の博物館であることが大きな特徴です。九州が歴史的に大陸との結びつきが強いことを視野に入れ、コンセプトに「日本文化の成り立ちをアジア史的観点から捉える博物館」を掲げて、様々な展示、啓蒙を行っています。
館内展示では石器時代から近世末期 開国までの日本の歴史が紹介されているほか、国宝となっている狩野正信の「周茂叔愛蓮図(しゅうもずくあいれんず)」や、「栄花物語(えいがものがたり)17帖」、さらに木造観音菩薩立像など数多くの重要文化財が展示され、時期に応じて特別展が開催されています。
1階に設けられている体験型展示室「あじっぱ」は入場無料。ここでは日本と交流のあったアジアやヨーロッパの国々の文化を、私たちの五感に訴える具体的な展示によって知ることができます。そして柔らかな曲線を用いた大屋根など、建物の斬新なデザインも、大きな魅力といえるでしょう。
※常時展示替えを行っております。最新の展示状況については各スポットまでご確認ください。
F
竈門神社
かまどじんじゃ
福岡県の大宰府市と筑紫野市にまたがってそびえる宝満山は標高829メートル。
古くから霊峰として知られ、今日でも九州でもっとも登山者の多い山と言われています。
2013年(平成25)年10月には、鳥海山、富士山に次いで全国で3番目に国の史跡に指定されたこの山に「宝満宮(ほうまんうぐう)竈門神社」があります。
創建は古く673年(天武天皇2年)のこと。以来、この神社は人々の心の拠り所として親しまれてきました。
この神社の上宮は宝満山の山頂に、下宮は麓に置かれていますが、どちらも宝満山の登山道にも近いことから登山客からも愛され、古くからの「方除け」「厄除」ばかりでなく、今日では縁結びの神様として、若い女性にも人気です。
下宮境内の本殿のかたわらに立つサイカチの木は、「再会の木」とも呼ばれ、この木に向かって、愛する人との再会や縁結び、まだ見ぬ人との出逢いを祈れば、きっと願いが叶うのだとか。
また、お札、お守りの授与所のそばに立つ「幸福の木」に恋の願いをしたためた「こより」を結べば、恋が成就するのだとも。そんな魅惑のスポットが点在する境内は、桜や紅葉の名所としても知られ、旅人の憩いの場となっています。
G
北野天満宮
きたのてんまんぐう
北野天満宮は、学問や交通安全の神様などとして、親しまれている神社です。
創建は1054年(天喜2年)で、京都の北野天満宮より菅原道真公の分霊をこの地に祀ったことが始まりと伝えられています。
この神社には、追手から逃げようとする菅原道真をかばったカッパが片手を切り落され、これを不憫に思った道真がカッパを手あつく葬って旅を続けたという「カッパ伝説」があり、今も「カッパの手」が天満宮の宝物として保存されています。
毎年10月の第3日曜日には、秋祭り「おくんち」が開催されており、この催しは県の無形文化財に指定されています。
境内はさほど広くありませんが、観光客で混雑することもなく、静かなひとときを過ごすことができることも、この神社の魅力です。
境内に立つ大きなクスノキは樹齢900年、県の天然記念物にも指定され、この神社のシンボルとして親しまれています。
H
久留米百年公園
くるめひゃくねんこうえん
久留米百年公園は、久留米市が市制100周年を記念して1989年(平成元年)にオープンしました。
園内には芝生広場、催し広場、多目的広場など、ゾーンごとにさまざまな施設が設けられ、やはり園内にある「世界つつじ園」には、久留米つつじを始めとするおよそ12万本のつつじが植えられて、毎年4月5日から5月5日の間には「久留米つつじ祭り」が開催されています。
この公園では、元禄時代から300年以上の伝統を誇る久留米市の植木業者が一同に集う「久留米市植木まつり」をはじめ、たくさんのイベントが随時開催されています。
また近隣には、久留米総合スポーツセンターや、福岡県青少年科学館などの施設もあります。
200本のソメイヨシノも植えられて散策に好適な筑後川の堤防などもあることから、気軽に楽しめるレクリエーションの場として、多くの市民に親しまれています。
I
久留米森林つつじ公園
くるめしんりんつつじこうえん
久留米市森林つつじ公園は、福岡県の県木につつじが選ばれたのを記念して、久留米市東部に延びる耳納スカイラインの途中、高良大社奥の院の東側に作られた公園です。
起伏のある地形を活かして作られた公園の中には100種類、6万1000株のつつじが植えられて、春の4月中旬から、連休までが一番の見頃となります。
夏であれば深い緑、秋であれば紅葉が楽しめるなど、四季それぞれに、自然との一体感を楽しめることが大きな特長となっています。
公園が設けられているのは、遠い昔の南北朝時代に、この一帯を治めた菊池一族が、自らの拠点とした山城を設けた場所。そんなロケーションは、ハイキングルートの一部に組み込んでみても好適で、筑後路を歩くウォーキング大会「久留米つつじマーチ」のコースとしても人気があります。
また、公園の一角には、夏目漱石が詠んだ「菜の花の遥かに黄なり筑後川」の歌碑が建ち、筑紫平野を一望できるポイントから雄大な自然を楽しみながら、いにしえ人の暮らしに、思いを馳せることができます。
J
久留米市美術館
くるめしびじゅつかん
久留米市美術館は、1956年に開館した石橋美術館の建物と活動を引き継ぎ、2016年11月19日に開館しました。様々なジャンルの展覧会や園内と連携したイベントなどを通して、美術にふれる楽しさをたくさんの人に伝えていきます。そして、四季折々の花や緑があふれる庭園に囲まれた美術館として、みなさんの憩いの場、楽しみの場として親しまれ、特別な場所としてあり続けることを目指しています。
また、久留米市美術館に隣接する石橋正二郎記念館は、石橋文化センターの開園60周年を迎えた2016年に石橋美術館別館を改修し、公益財団法人石橋財団より久留米市に寄贈されました。
当記念館では、ブリッヂストンタイヤ株式会社(現・株式会社ブリヂストン)の創業者である石橋正二郎の歩みやひととなり、社会的・文化的功績や、郷土久留米に寄贈した石橋文化センターの変遷など、映像や音声などのマルチメディア資料等も交えながら紹介しています。
K
成田山久留米分院
なりたさんくるめぶんいん
1958年(昭和33年)に千葉県の成田山新勝寺からの分霊を招いて建立された成田山久留米分院は、2つのシンボリックな構築物が並び建っていることでも知られています。
その一つが、柔和な日表情を湛えている救世慈母大観音像。62メートルという高さは日本最大級のもので、眉間の白毫には3カラットのダイヤモンドが18個つき、内部には先祖供養などのために千体仏が安置されているだけでなく、展望台も設けられていて、らせん階段で像の肩の高さまで登ることができます。
展望のために開けられている小さな窓からは、遠く有明海、さらには雲仙岳までを見渡すことができます。
そしてもう一つ、観音像の隣に建つ大伽藍が、高さ38メートルの「インド村・平和大仏塔極楽殿」です。その大きさはインド・ブッタガヤに建つ大菩提寺と同じもの。
塔の周りにはおよそ300体のお釈迦様像が安置されています。このお寺のご利益は開運厄除、商売繁盛、家内安全など、実にさまざま。
この他にも境内には、歴史上の出来事を宝石で再現した「天然宝石造り歴史館」や、地獄の様子を模型で再現した「八大地獄絵巻 地獄館」などがあって、楽しみながら仏教への理解を深めることができます。
L
石橋文化センター
いしばしぶんかせんたー
石橋文化センターは、株式会社ブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が同社の創立25周年を記念して、1956年(昭和31年)に、自らの出身地である久留米市に寄贈した複合文化施設です。
同センター内は、「メモリアルゾーン」、「読書と木陰のくつろぎゾーン」、「花と水辺のヒーリングゾーン」などの6つのゾーンに分けられ、異なる趣でのくつろぎが提供されています。
「久留米市美術館」や、石橋正二郎氏の生涯を紹介する「石橋正二郎記念館」、コンサートも開催される「石橋文化ホール」、展示会にも使用できる「石橋文化会館」、そして中央図書館などの施設が地域の文化振興、情報発信の拠点として機能しています。
またバラ園には、「香りのバラ園」や、芸術家の名前にちなんだバラを集めたコーナーもあります。このほか、カフェ&ギャラリーショップ、日本庭園など、様々な施設が併設され、憩いの場として、久留米市民から愛されています。