アメリカ文化に世界遺産、そして話題の離島まで
沖縄中部の観光が面白い「沖縄本島中部」エリア
沖縄本島中部エリア紹介
那覇から北へ車で30分から1時間ほどのところに位置する沖縄本島中部は、沖縄市をはじめ、うるま市、浦添(うらそえ)市、読谷村など中小のまちが集まっています。
この辺りは米軍基地が集中しているため、コザや美浜アメリカンビレッジなど、アメリカ文化が色濃く反映された地域が多い点が特徴です。
琉球王国に興味があれば、沖縄の9つの世界遺産のうち、勝連城跡(かつれんじょうあと)、中城城跡(なかぐすくじょうあと)、座喜味城跡(ざきみじょうあと)の3つがここ、中部にあります。
また「体験王国むら咲むら」は、工芸や伝統芸能の体験施設ですが、再現された琉球時代の那覇のまち並みも見所です。
「ビオスの丘」で水牛車に乗り、東南植物楽園でハスを愛で、残波岬では東シナ海の絶景が待っています。
東側の海中道路を渡れば、離島にも車で簡単にアクセス可能。文化、史跡、自然の魅力がバランスよく詰まった見逃せないエリアです。
A 浦添城跡
B 中村家住宅
C 美浜タウンリゾートアメリカンビレッジ
D 沖縄こどもの国 ZOO&MUSEUM(ズージアム)
E コザゲート通り
F 道の駅かでな
G 東南植物楽園
H 勝連城跡
I 海中道路
J 伊計島
K ビオスの丘
L 琉球村
M 座喜味城跡
N 残波岬
O 体験王国 むら咲むら
A
浦添城跡
うらそえじょうあと
浦添城跡は、13世紀ごろに築かれたグスクで、北は切り立つ崖、南は那覇や首里を望む急峻な斜面となっています。
ここは沖縄戦で激しい日米攻防戦の舞台となり、戦前まで残っていた遺構もことごとく破壊されました。
現在のグスクの姿は、発掘調査の成果をもとに復元されたもので、浦添城跡最大の特徴は、北側に位置する王陵「浦添ようどれ」です。
「ようどれ」とは琉球語で「夕凪」を意味し、ここには浦添ようどれを造った英祖王と、琉球王国第二尚氏(だいにしょうし) 第七代国王 尚寧王(しょうねいおう)が左右の石室に分かれて眠っています。
浦添城跡に隣接するガイダンス施設「浦添グスク・ようどれ館」では、英祖王の墓の内部を忠実に再現した実物大模型を設置しており、本物と見紛うほどの精巧な造りは必見です。
また、浦添大公園南エントランス管理事務所にはグスク全体のジオラマや、正殿の屋根に使われていたと考えられている高麗系瓦の模型が展示されており、こちらは無料で見学できます。
B
中村家住宅
なかむらけじゅうたく
中村家住宅は、江戸時代後期から明治にかけて建てられた農家の屋敷です。
戦争で失われることなく今に残る大変貴重な史跡で、国の重要文化財に指定されています。
建物は古来より伝わる日本建築をもとに、沖縄独特の「フール」と呼ばれる豚小屋兼トイレや、中国様式を受け継いだ目隠しの塀「ヒンプン」などを取り入れた沖縄らしい造り。
屋根は元々竹葺きでしたが、明治になり赤瓦に替えられました。
これは、農民階級である中村家が、琉球王国時代は瓦の使用を許されなかったためです。
いずれも本土とは信仰も風習も何もかも異なる上、当時の農家の暮らしを知る意味でも非常に重要な文化遺産といえます。
なお、周辺は大城地区と呼ばれる閑静な住宅地です。道には花と緑があふれ、いたるところに素焼きのオブジェが並び、「カー」と呼ばれる井戸があちこちにあるこの辺りは今、散策コースとして注目を集めています。
C
美浜タウンリゾートアメリカンビレッジ
みはまたうんりぞーとあめりかんびれっじ
美浜アメリカンビレッジは、大小さまざまな店舗を中心に、映画館、ホテル、ビーチまで揃う巨大複合施設です。最大の特徴は、いたるところにみられるアメリカ文化。
沖縄中部は米軍基地が多く、アメリカの影響を強く受けた独自の文化が培われてきました。
このため、アメリカから直輸入の古着や雑貨が集まる「アメリカン・デポ」や、カラフルでお洒落な異国のまち並みが楽しい「デポアイランド」、アメリカ料理のレストランやカフェなど、文化的背景をうまく活かした、テーマパークのようなわくわくした空間となっています。
ほかにも、沖縄唯一の観覧車や、沖縄出身の版画家 名嘉睦稔(なかぼくねん)の「ボクネン美術館」、日帰り天然温泉など買い物以外の見所も多く、性別や年齢を問わず1日中遊べるスポットです。
D
沖縄こどもの国 ZOO&MUSEUM(ズージアム)
おきなわこどものくに
沖縄こどもの国は、1970年に本土復帰記念事業の一環として開園し、およそ150種類の生き物が暮らしています。
ゾウやカバといった定番の顔ぶれはもちろん、与那国馬(よなぐにうま)、ウタイチャーンと呼ばれるニワトリ、フクロウの一種であるリュウキュウオオコノハズクなど、沖縄本島を含む琉球諸島固有の生き物が見所。
近年、ホワイトライオンやジャガーも仲間入りしました。園内には動物園のほかにふたつの施設があり、「ワンダーミュージアム」は触れて、遊んで、学べるチルドレンズミュージアム。
「チルドレンズセンター」は、ボランティア活動のサポートをはじめ、市民参画の拠点として位置付けられる施設となっています。
一方、意外と知られてないのが「沖縄市ふるさと園」です。
「ヒンプン」と呼ばれる屋外の目隠しや、トイレ兼豚小屋の「マチフール」など、失われつつある沖縄の伝統家屋を移築・復元。
国の登録有形文化財に指定されています。また、週末を中心にさまざまなイベントを開催。動物の誕生日会も毎月開かれるなど、アットホームで地元の人にも愛される動物園です。
E
コザゲート通り
沖縄市の中心地、コザ。
「コザ」は戦後一時的に存在した「コザ市」に由来し、現在地名としては存在しませんが、実際には民間企業の支店名や学校名で今も使われている呼び名です。
この地域には東アジア最大の空軍基地、嘉手納基地があり、戦後は米軍関係者向けの商売で県内随一の繁華街として賑わいました。
現在も、ゲート通りには英語看板の店舗やライブハウスが軒を連ね、週末の夜になると外国人で溢れます。
それは、観光地化した国際通りや、美浜アメリカンビレッジの造り込まれた景観とはひと味違う、地道に歴史を積み重ねてきたまちの姿です。
一方、昼間の見所は、エイサー会館。体験型の展示でエイサーを一年中楽しむことができます。
また、コザの歴史を知るには、「沖縄市戦後文化資料展示館ヒストリート」がおすすめ。
戦前戦後の貴重な写真や生活用品が所狭しと並ぶ、無料の資料館です。
ゲート通りから2キロほど東にあるコザ十字路には、「コザ十字路絵巻」と名づけられた巨大壁画があり、時代をテーマに描かれた色鮮やかなアートは一見の価値があります。
F
道の駅かでな
みちのえき かでな
道の駅かでなは、巨大な白龍が今にも天へ駆け昇ろうとしている大きな看板が目印です。この龍は嘉手納町に伝わる「屋良(やら)ムルチ」の大蛇伝説をモチーフにしています。
ここは東アジア最大の空軍基地、嘉手納飛行場を一望できる場所として知られており、戦闘機を撮影するために訪れるファンも少なくありません。
嘉手納基地は日本最大の飛行場、羽田空港の約2倍という広さを有し、嘉手納町においては土地の8割以上が基地という状況です。
この現実と共存しなければならない地元住民の苦悩や日常は、3階の学習展示室で詳しく紹介されています。また、平日であれば戦闘機の離発着を展望台で目にする機会もあり、騒音のすさまじさを身近に体感できます。
各店舗では沖縄土産はもちろん、「基地の町」ならではの米軍グッズも販売。嘉手納町の特産品、野国(のぐに)いものソフトクリームや名物のジャンボチーズバーガーもぜひお試し下さい。
G
東南植物楽園
とうなんしょくぶつらくえん
1968年(昭和43年)に農園として開業した東南植物楽園。
休園やリニューアルオープンを経て50年以上の歴史があります。
園内は「水上楽園」と「植物園」の2つに分かれ、水上楽園の主な見所は、ハス、バオバブ、そしてリュウケツジュ。
特にハス池は県内最大級で、日の出とともに咲き、昼過ぎには閉じてしまうハスに合わせ、夏の間は早朝にイベントを開催し、見頃を逃さないよう工夫されています。
また、カピバラやコモンリスザルなど動物との触れ合い体験も人気です。
一方、植物園は天高くそびえるユスラヤシをはじめ、珍しい南国の樹木に囲まれた気持ちのよい空間。熱帯植物を温室ではなく屋外で一年中見ることができるのは、沖縄ならではです。
なお、広大な敷地の移動は音声ガイドつきの周遊バスが便利ですが、おすすめはガイドツアー。
案内人の豊富な知識と話術は非常に評判がよく、満足度の高さで喜ばれています。
H
勝連城跡
かつれんじょうあと
勝連城跡は、首里城、中城城跡、座喜味城跡、今帰仁城跡と並ぶ世界遺産です。
中城湾(なかぐすくわん)の南西にそびえる中城の城主 護佐丸(ごさまる)を討ち、自身もまた王府により討ち取られてしまった阿麻和利(あまわり)の居城として知られています。
見学はまず、ふもとにあるうるま市特産品の店「うるまーる」から。想像をもとに宮殿や屋敷を配置し、グスクの当時の姿を復元した精巧な模型はぜひ一度ご覧下さい。
また、城跡では非常に詳しいパンフレットが用意されているほか、いたるところにイラストつきの解説版があり、御嶽(うたき)や「カー」と呼ばれる井戸など沖縄独特の文化財も、自分がいま何を見ているのかよくわかるよう工夫されています。
積み直し、修復を経たグスクの石垣は、かつて難攻不落と賞された姿を取り戻したかのよう。
悠然と波打つ城壁の曲線は見事としか言いようがありません。
そこから三方に青い海を見晴らせる絶景もまた、見所のひとつです。
I
海中道路
かいちゅうどうろ
海中道路は、海底を走るトンネルでもなければ、海に架けられた橋でもなく、浅瀬に土手を築いたまぎれもない「道路」です。
これは、1970年代にアメリカの石油会社が平安座島に石油基地を建設するにあたり作られたもの。
勝連半島と平安座島を結び、海を突っ切って一直線に伸びるこの道は、目線が橋より低いため、まるで海の上を走るような感覚を覚えます。
途中にある「海の駅 あやはし館」は、道の駅ならぬ海の駅。琉球の伝統的な木造船「マーラン船」を模した建物が目印です。
こちらの「うるま市立海の文化資料館」では、沖縄の伝統的な船作りや、海中道路ができるまでのいきさつを詳しく紹介。無料で見学できます。
海中道路は、平安座島(へんざじま)、浜比嘉島(はまひがじま)、宮城島(みやぎじま)、伊計島(いけいじま)という離島への玄関口。車で巡るのもいいですが、実は自転車という選択肢もあります。
海の駅の向かいにある「美ら島海道 観光案内所」では有料で自転車を貸し出しており、車を停めて自転車でのんびり離島巡りに出かけることも可能です。
J
伊計島
いけいじま
伊計島は、沖縄本島から海中道路を渡り平安座島、宮城島を経て一番北に位置する小さな島です。沖縄の方言ではこの島を「イチハナリ」と呼び、イチは遥か遠い場所、ハナリは離れているという意味があります。
ひとが住む集落は南部に位置し、島で唯一の共同スーパーに赤瓦の古民家、儀式を行う広場や御嶽(うたき)など、古きよき沖縄の景観が見られます。
集落の近くには伊計ビーチと大泊(おおどまり)ビーチがあり、どちらも有料ですが、透明度抜群の美しい海は観光客にも人気です。
一方、島の中部はサトウキビや葉タバコの畑が広がる一層のどかな地域。この辺りでは縄文時代後期から弥生時代前期にかけた遺跡が多く発見されており、仲原(なかばる)遺跡にて復元された沖縄最大の竪穴式住居を無料で見学できます。
大々的に観光地化されていないこの島では、素朴な風景に流れる静かな時間、そこに吹く潮風と太陽と海が何よりの醍醐味です。
K
ビオスの丘
ビオスのおか
「ビオスの丘」は、亜熱帯の自然の中でのんびりとすごせるテーマパーク。ビオスとはギリシャ語で「命」という意味です。
元々はランの生産事業から始まった施設で、園内ではいたるところに色鮮やかなランが咲いています。
また、地理的に沖縄北部と中部の境目にあたるため、「やんばる」と呼ばれる北部独特の自然が見受けられる点も特徴です。
ここの名物はなんといっても水牛車。水牛車といえば竹富島や西表島が有名ですが、沖縄本島で水牛車に乗れるスポットは数少なく、この「ビオスの丘」と「備瀬のフクギ並木」の2箇所程度で、ここでは予約なしで毎日運行しています。
一方、水牛車と人気を二分するのが湖水観賞舟です。湖畔の動植物を見ながらゆったりと進む船は、まさにジャングルクルーズ。船頭による面白おかしいガイドも大好評です。
ほかにも、森を抜け農場を巡る汽車型のロードトレイン「巡車」や、スタッフ手作りの特大ブランコ、7つのスタンプを集めるとプレゼントがもらえるスタンプラリーなど、素朴な遊びがかえって楽しい植物園です。
L
琉球村
りゅうきゅうむら
「琉球村」は、明治末頃の沖縄をイメージして作られたテーマパークです。
1982年の開園以降、県内各地から幾つもの古民家を移築。開放された軒先から漏れる三線(さんしん)の音色や、屋根上のシーサー、水牛を使った伝統的な砂糖づくりなど、人々が思い描く古きよき沖縄の姿を今に残しています。
ここでの楽しみは、沖縄の伝統芸能「エイサー」。また、沖縄らしい体験教室も豊富。沖縄観光の魅力を凝縮した、1日遊べる施設です。
なお、入口手前の「沖縄の駅ちゃんぷるー」は、休憩に便利な道の駅。お買い物もできる売店もございます。
M
座喜味城跡
ざきみじょうあと
座喜味城跡は2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」のひとつとして世界遺産に登録されました。
2017年には「続日本100名城」にも選出された城(グスク)で、約600年前、15世紀初頭に読谷山按司「護佐丸」によって築城されたと伝えられています 。
沖縄の城(グスク)の多くは琉球石灰岩上の固い場所に立地しているのに対し、座喜味城の地盤は土であるため、城壁の基礎は土を掘り込む方法で幅広く仕立てられ、地形に沿って湾曲(アーチ)させることで安定性を確保し、崩れにくい構造となっています。
注目すべきは、アーチ型の石門に打ち込まれた「くさび石」。
二の郭は細長い三角、一の郭は四角い石が、門の中央上部にはめこまれており、これは他のグスクには見られない大きな特徴です。
現在の城壁には復元されている部分もありますが、二の郭入口の石造アーチ門はほぼ築城当時の状態で、沖縄に現存する中で最古の石造アーチ門だと考えられています。
座喜味城跡は沖縄のグスクとしては中規模ですが、600年前の築城技術でつくられた曲線状の城壁は構造的、防御的に優れ、また、城壁の上から望む開放的な景観も見所です。
なお、隣接の「ユンタンザミュージアム」では座喜味城跡を模型とともに紹介しており、グスク見学の前にこちらで予習していくとよいでしょう。
N
残波岬
ざんぱみさき
夕日の名所として知られる残波岬は、断崖絶壁に波が打ちつける沖縄有数の景勝地です。
岬のシンボルは、白亜の灯台。高さは31メートル、展望台までの階段は99段あります。沖縄にはいくつも灯台が立っていますが、上までのぼれる灯台はここと宮古島の平安名埼灯台だけです。展望台にのぼると東シナ海の大パノラマが広がり、よく晴れた日には南西に慶良間諸島まで望めます。
岬一帯は「残波リゾート・アクティビティパーク」として整備され、残波ビーチをはじめ、バーベキュー広場、屋外遊具が揃うキッズエリア、琉球忍者ショーを観覧できるシアターもあります。また、高さが約9メートルの巨大なシーサー「残波大獅子」は人気の撮影スポットとなっています。
ここに来れば、残波岬で「金城パーラー」にもぜひお立ち寄り下さい。
市バスを利用した名物屋台で、潮風にあたりながら食べる沖縄定番「ブルーシール」の紅芋ソフトクリームは美味しさもひとしおです。
O
体験王国 むら咲むら
たいけんおうこく むらさきむら
「体験王国むら咲むら」は、32の工房で101の沖縄文化を体験できるテーマパーク。
元々は1993年に放映されたNHK大河ドラマ「琉球の風」のオープンスタジオとして作られた施設で、地域活性化の一環として観光スポットに生まれ変わりました。
撮影用のセットとはいえ、14、15世紀の琉球王朝をイメージした華やかなまち並みは非常に本格的。
中国から派遣された使者の宿舎を再現した「天使館」をはじめ、琉球武家屋敷の食事処「謝名亭」、中国は福建省から移り住んだ人々の住居を模した「久米体験館」など、琉球ファンにはたまりません。
これらの建物を利用した体験コースは、やちむんや紅型などの伝統工芸から、かんから三線や琉球舞踊といった芸能、空手や乗馬にいたるまで多種多様。
予約なしで参加できるコースも多く、ビジターセンターでは完成品を見ながら、その場で体験を選ぶことができます。