日本三景の景色だけでなく歴史探訪が楽しめる
「宮津・天橋立」の観光音声ガイド8選
宮津・天橋立エリア紹介
天橋立は宮城県の「松島」、広島県の「宮島」と並び「日本三景」のひとつです。
江戸時代初期から風光明媚な場所として多くの人が訪れました。天橋立の正体は何かというと、幅が約20〜170メートル、長さ約3.6キロメートルの砂嘴(さし)です。
その細長い砂嘴の上に約5000本もの松が茂り、松の緑と海の青が見事なコントラストを見せています。『丹後国風士記』によれば、伊邪那岐大神(いざなぎのおおかみ)が伊邪那美大神(いざなみのおおかみ)のところに天から通うためのはしごが倒れて天橋立になったと言われています。
地形の特徴から、天橋立を楽しむには小高い山の展望台から眺めるのが普通です。「股のぞき」といって上下逆さまにして見ると天に舞う龍のような、また別の姿を楽しむことができます。
このエリア、天橋立をいろいろな方向から眺めるのがメインになりますが、楽しみはそれだけではありません。
『丹後国風士記』に記されていることからもわかるように、周辺には長い歴史や文化を感じさせるものが数多くあります。神社や寺院を回り、歴史の長さに思いを馳せたり、日本最古のパワースポットを訪ねたり、この地ならではの楽しみをぜひ味わってください。
A 天橋立
B 智恩寺
C 廻旋橋
D 天橋立ビューランド
E 旧三上家住宅
F 金引の滝
G 元伊勢籠神社
H 京都府立丹後郷土資料館
I 傘松公園
A
天橋立
あまのはしだて
日本では江戸時代初期から「日本三景」として、日本を代表する景観があります。
宮城県を中心とした「松島」、広島県の「宮島」と並び、京都府の「天橋立」がその日本三景です。
どの場所も海の青と松の緑が見事に対比した景観を楽しめます。
天橋立自体は幅が約20〜170メートル、長さ約3.6キロメートルの砂嘴(さし)で出来た砂浜に、約5,000本もの松が茂り、独自の景観を形成しており、小高い山にある展望台から眺めるのが人気です。
「股のぞき」といって、足を開いてその間から上下逆さまに見ることで天地が逆転して、天橋立が天にかかるように見えたり、天に舞う龍のように見えることから「飛龍観」とも呼ばれています。
また上から眺めるだけでなく、天橋立自体を歩いたり、自転車で訪れるなどの楽しみ方もできます。
日本海の海産物が豊富な場所でもあるので、夏の岩牡蠣やトリ貝、冬の松葉ガニや鰤など、食べる楽しみにも事欠きません。
B
智恩寺
ちおんじ
智恩寺は、平安時代の延喜4年(904年)醍醐天皇の勅願により創建されました。古代より日本三文殊第一の霊場、天橋立切戸の文殊として有名です。
寺の伝承、「九世戸縁起(くせとえんぎ)」によれば、天地創造の始め日本の国生みの神、イザナギ、イザナミの二神がこの地を占有する悪龍を鎭めるため、中国の五台山から文殊菩薩をお迎えしました。菩薩の願力によって龍神は教化され国土の守護神となり、やがて一夜の働きで土地を整え、その上に天女が天下って松を植え、今の美しい天橋立ができたと伝えられています。
文殊菩薩は智恵の仏様として、全ての人を守り、願いを叶えて下さる仏様です。
この言い伝えは『九世戸』という謡曲で能でも取り上げられ、毎年7月24日に行われる出船祭りでも再現されます。
この「九世戸縁起」を絵葉書にしたものを智恩寺で買うことができます。智恩寺には重要文化財として多宝塔、文殊菩薩脇侍善財童子優闐王像(うでんおう)、鉄湯船(てつゆぶね)などがあります。また、境内の松の木にたくさんぶら下がっている扇子はおみくじなので、是非試してみてください。
C
廻旋橋
かいせんきょう
天橋立駅から天橋立に行くには、小天橋と大天橋を渡ります。この小天橋が廻旋橋です。廻旋橋がおもしろいのは、橋自体が動くことです。昔は水面からあまり高い位置に橋を作れませんでした。
しかし、橋の下を通る船が大型化してくると、船が通過できません。そこで廻旋橋のような可動橋が生まれました。
この橋は、橋自体が90度回転して船の航路を確保しており、全長は36メートルで動くのは27メートル、1923年(大正12年)木造の橋として作られました。当時は手動で『人おして 廻旋橋のひらく時 くろ雲うごく 天の橋立』という与謝野昌子の歌が残されています。1960年(昭和35年)には電動化されて現在に至っています。
動く橋ということで、絶好の撮影スポットになっています。船の通行が多い日には一日50回も回ることがあります。ただし不定期の船が多いため、確実なのは観光船が通過する9時55分頃です。
また、日曜日には11時から15時の毎正時に橋を回してくれます。観光船から撮影するのもおもしろいので現地に問い合わせてみましょう。
D
天橋立ビューランド
あまのはしだてびゅーらんど
天橋立全体が美しく見える場所が2カ所あり、そのひとつが天橋立ビューランドです。天橋立ビューランドは天橋立の南南西、文珠山(もんじゅやま)の中腹に位置します。
そのため、天橋立全体をほぼ縦一直線に見ることができます。
一番のおすすめは名物の「股のぞき台」。
この上に立って股の間から天橋立を眺めると龍が天に舞い上がっているように見え、「飛龍観(ひりゅうかん)」と呼ばれています。また、特に雪が降って真っ白になった天橋立は、「幻雪の飛龍観(げんせつのひりゅうかん)」と呼ばれています。
もうひとつのおすすめは「飛龍観回廊(ひりゅうかんかいろう)」という展望台です。
これは元ジェットコースターがあったコースで、全長約250メートル、高さは最大8.5メートルあり、歩きながら360度のパノラマを楽しめます。
ビューランドには遊園地定番の観覧車もあり、こちらも天橋立を眺めながらの特別な体験ができます。
ちょっと変わったところでは「かわらけ投げ」があります。
円盤状の「かわらけ」を智恵の輪に向かって投げるもので、輪に入ると願いが叶うと言われています。モノレールやリフト利用の往復乗車券は公式ホームページで50円引きの特別割引券がありますので、是非事前に入手しましょう。
E
旧三上家住宅
きゅうみかみけじゅうたく
今も城下町の面影が残る河原町通りに、旧三上家住宅はあります。
見どころは、外から見ると白壁が美しく、贅を尽くした座敷や庭園です。
三上家は但馬国(たじまのくに)の大名、山名氏に仕えていたのが内紛により丹後(たんご)に逃れて町人になったと伝えられています。
そして元結(もとゆい)の製造・販売を手がけ、元結屋(もっといや)を名乗りました。
屋敷は1776年(安永5年)に建てられたものの、1783年(天明3年)2月の晒屋火事(さらしやかじ)で消失しましたが、12月には母屋が再建されています。そのためか屋敷は柱を塗り込める「大壁造(おおかべづくり)」を採用し、いたるところに土扉(つちど)を配置し、徹底した耐火構造になっています。
また三上家は元結のほか造酒業、廻船業(かいせんぎょう)なども営むようになり、宮津藩では町名主として藩財政にも関わっていました。
このように往時の歴史を知るのにうってつけな遺構で、1989年に京都府指定有形文化財に指定され、2003年には母屋をはじめ8棟が国の重要文化財に指定されています。
庭園には30匹以上の亀がいますが、大きな2匹は「みかちゃん」と「かんちゃん」と呼ばれています。ジャコを持っていくと、特に喜んでくれるとか。
F
金引の滝
かなびきのたき
日本の名瀑を集めた「日本の滝100選」というものがあります。京都府で唯一、この100選に選ばれたのが金引の滝です。
金引の滝は実はひとつの滝ではなく、「金引」「白龍(はくりゅう)」「臥龍(がりゅう)」という3つの滝を総称して「金引の滝」と呼んでいます。そのうちいちばん大きい「金引」は高さ約40メートル、幅約20メートルで1年を通して豊かな水量があります。
水は左右に分かれていて、水量の多い右側が「男滝(おだき)」、左側が「女滝(めだき)」と呼ばれています。
「金引」の特徴は滝につきものの滝壺がないことで、滝のそばに近づいて水に触れることができます。
麓の駐車場からは急な石段はあるものの5分もかからず歩いてたどり着くことができるので、夏場は涼を求めてたくさんの地元の人や観光客が訪れます。
滝周辺の見所としては、「白龍」の前にあり、珍しく北を向いた「北向き地蔵尊」があります。これは「一願本尊(いちがんほんぞん)」として、ひとつだけ願いを叶えてくれるそうです。
G
元伊勢籠神社
もといせこのじんじゃ
名前が示すように、伊勢神宮と深い関係にある神社です。
伊勢神宮に祀られている天照大神、豊受大神は、この地から伊勢に遷(うつ)られたと云われています。両大神が伊勢へとお遷りの後、天照大神のお孫様にあたる彦火明命を主祭神としてお祀りしています。
本殿の高欄上(こうらんじょう)には五色の座玉が耀いていますが、これは伊勢神宮と籠神社に共通して見ることができる社殿装飾で、大変珍しいものです。
社頭にある狛犬のうち阿形の右足には傷があります。これは昔、天橋立で悪さをしていた狛犬に、剣豪・岩見重太郎が一太刀をあびせたものだと伝えられています。
奥宮の眞名井神社は豊受大神を主祭神としてお祀りするほか、伊邪那岐大神と伊邪那美大神をお祀りし、二柱の神様を結ぶ架け橋となったのが天橋立であり、そのことから良縁成就の地と云われています。
真名井神社本殿裏には磐座があり、縄文・弥生時代の土器や石器が発掘されていることから、太古より神様をお祀りしていると考えられています。
又、参道入り口には「天の真名井の水」が湧き出しており、多くの方に親しまれています。
この神聖な場所で、遠き神代の昔に思いを馳せてみるのもおすすめです。
H
京都府立丹後郷土資料館
きょうとふりつたんごきょうどしりょうかん
郷土資料館の名前が示すとおり、丹後地方(京都府北部)の歴史・考古・民俗などの資料を展示しています。
本館の1階展示室では、常設展の「丹後の歴史と文化」で縄文時代から近代までの考古・歴史資料、及び織物や漁具(ぎょぐ)などの民俗資料を展示しています。
2階の展示室では年に5回、丹後に関連した特別展や企画展を開催しています。この地域の歴史や文化に興味がある人には、まさにマストな資料館といっていいでしょう。
資料館の前は、国の史跡になっている「丹後国分寺跡」になります。奈良時代に作られたもので、現在でも南北朝時代に再建された金堂や五重塔の礎石が残っており、その姿は雪舟筆の国宝『天橋立図』にも描かれています。
また、1840年(天保11年)に建てられた大庄屋の母屋、旧永島家住宅が移築復元されています。中では昔の農具などが展示されている他、かまどや囲炉裏の体験会も行なわれています。
築180年になる茅葺屋根の民家から眺める天橋立はまた格別で、撮影スポットとして多くの人に利用されています。
I
傘松公園
かさまつこうえん
傘松公園は、成相山(なりあいさん)中腹の海抜130メートルの高台にあり、麓からケーブルカーかリフトで往復することができます。
乗車券は共通券なので、ケーブルカーとリフト、両方乗ってみるのがおすすめです。
傘松公園から見る天橋立は「斜め一文字」と呼ばれ、絶好の展望台になっています。天気が良ければ能登半島、立山連峰、白山まで望めます。
少し上にある傘松という名の松は、天橋立を上下逆さまに見る「股のぞき」発祥の地と言われています。股のぞきで見ると、天と地が逆となり、「天への架け橋」となって見えます。また、龍が天に舞い上がっているようにも見えることから「昇龍観(しょうりゅうかん)」とも呼ばれています。
傘松公園で訪れたいのが展望台のスカイデッキです。約60平方メートルの円形のデッキで、手すりにはガラスを多用して開放感を出しています。
また床が強化ガラスになった空中廊下もあり、空中散歩の気分を味わえます。
その他眺望スペースのスカイテラスやウッドデッキのコロッセオなど、いろいろな雰囲気で天橋立の眺望を楽しむことができます。また、冠島沓島遥拝所(かんむりじまくつじまようはいじょ)からは神聖な島である冠島と沓島を参拝できます。縁結び・夫婦円満などにご利益があるとか。