定番名所が魅力あふれるスポットへ進化中
大阪城エリアの観光音声ガイド10選
大阪城エリア紹介
大阪市の中心からやや東に位置する大阪城天守閣とその周辺は、地図で見ると街中にもかかわらずそこだけぽっかり緑色です。広大な敷地を有する大阪城公園には、5層8階で堂々とそびえる大阪城天守閣をはじめ、大手門や多聞櫓(たもんやぐら)といった重要文化財、豊臣秀吉を祀る豊國神社(ほうこくじんじゃ)などがあり、大阪を代表する観光地として国内外から多くの人が訪れます。
春は梅や桜、桃の名所として知られているほか、新しくオープンした商業施設「ミライザ大阪城」や「ジョーテラス大阪」は食事に便利なスポット。「水の都」ならではの水上バスの発着地もお城のすぐ側にあり、気軽に川めぐりを楽しめます。
また、公園では年間を通して様々なイベントが催されており、近年は夜間に行われる音と光を駆使したパフォーマンスに注目が集まっています。
A 大阪城天守閣
B 大阪城公園
C 大阪城西の丸庭園
D 豊國神社
E ミライザ大阪城
F 大阪国際平和センター ピースおおさか
G 大阪歴史博物館
H 難波宮跡(難波宮跡公園)
I 大阪水上バス
J 造幣博物館
A
大阪城天守閣
おおさかじょうてんしゅかく
昭和に復元された鉄筋コンクリートの天守閣、中は最新技術を駆使した博物館で、冷暖房はもちろん、エレベーターも完備。このように聞くと単なる「お城型」の娯楽施設のように思えますが、実際は歴史的な見所にあふれるお城です。
「三国無双(さんごくむそう)の城」と讃えられた豊臣秀吉の城は、1615年大坂夏の陣で落城。徳川幕府は土地を埋め立て、新たな城を築きました。とはいえ、それも落雷により崩れ落ち、1931年(昭和6年)に3代目が再建されるまで266年もの間、天守をもたない城だったのです。現在の天守は、徳川が築いた土台に秀吉の天守を模したもの。最上層の黒壁に伏虎が目を引きます。これが夜になるとライトアップされ、夜空に浮かび上がる5層8階は夜景スポットとしても人気です。
立派な天守もさることながら、大阪城で注目すべきは、その石垣。目を見張る巨石で知られています。中でも桜門(さくらもん)の先にある「蛸石(たこいし)」は高さがおよそ5メートル、長さはおよそ12メートルという、とても人が運んできたとは思えない大きさです。また、二の丸の大手門や乾櫓(いぬいやぐら)など、文化財も見所。それらの一部は不定期で内部が特別公開されることがあります。
B
大阪城公園
おおさかじょうこうえん
建物が密集する大阪市内において、ここだけ平たく緑の孤島のように見える大阪城公園。広大な敷地に大阪のシンボル、大阪城天守閣をはじめ、本丸、二の丸に残る大阪城の遺構、日本庭園「もと紀州御殿の庭」といった歴史的な見所のほか、春になると100種を越す梅林にはじまり、桃、西の丸庭園の桜が続々と花開き、多くの花見客が訪れます。一方、都会の真ん中に佇む水と緑は、人間だけの憩いにとどまりません。森には驚くほど多くの野鳥が生息し、外堀には渡り鳥も羽を休めにやってきます。草木に目を向け散歩をすれば、思いがけない発見があるかもしれません。
公園内の食事は、気候がよければ天守閣の周辺に集まる屋台やコンビニで青空ランチ。レストランはJR大阪城公園駅前の「ジョー・テラス・オオサカ」に複数の飲食店が入っているほか、本丸にある「ミライザ大阪城」では高級志向な食事を楽しめます。
なお、園内はあまりにも広いため、ロードトレインやエレクトリックカーが運行しています。
C
大阪城西の丸庭園
おおさかじょうにしのまるていえん
西の丸庭園の名前は、豊臣秀吉の大坂城時代に西の丸がここにあったことに由来します。当時は多くの屋敷が立ち並び、秀吉の側室、京極竜子(きょうごくたつこ)も西の丸に居を構え、「西の丸殿」と呼ばれていました。秀吉亡き後は、正室 ねねが一時西の丸に住み、その後京都へ移ると、今度は徳川家康が入り、2代目天守閣の再建にたずさわっていたといわれています。残念ながらその際に秀吉の大坂城はことごとく埋め立てられてしまい、現在は見る影もありません。今日(こんにち)の西の丸庭園は、青々とした芝生が広がり、樹木の向こうに天守を臨む解放感あふれる空間。人で混み合う天守閣周辺から逃れてほっとひと息つける憩いの場です。ただ、ここも春には大阪屈指の桜の名所となり、大勢の花見客が詰めかけます。
園内にはパナソニックの創業者 松下幸之助氏から贈られた茶室「豊松庵(ほうしょうあん)」や、結婚式などが行われる大阪迎賓館があり、こちらのレストランは完全予約制になっています。
D
豊國神社
ほうこくじんじゃ
ここは豊臣秀吉公と息子の秀頼、弟の秀長を御祭神とする神社で、現在の地に社殿が建ったのは1961年(昭和36年)のことです。豊国(とよくに)神社は元々は京都にあり、はじめはその大阪別社として創建されました。その後、本社から独立。名前も「国」の字を旧字にし、音読みで「ほうこく」と読む形にしたのです。秀吉公を祀る神社は、他にも生まれ故郷の名古屋をはじめ、滋賀県の長浜や石川県の金沢など各地にあります。
ご利益は出世開運。尾張出身の名もなき男が天下統一までのぼりつめた生涯にあやかるもので、お守りには「出世瓢箪」や「出世箸」「出世カブト」といったユニークな品が用意されています。
本殿の脇にある庭は「秀石庭」。残念ながら普段は閉鎖されていますが、巨石が配置された枯山水様式を門の外から垣間見ることができます。
境内にはほかにも白玉神社と若永神社があり、どちらもウカノミタマノカミ(宇迦御魂神)をお祀りしています。白玉神社は、元は白玉稲荷神社といい、ウカノミタマノカミは穀物の神さま。「お稲荷さん」として親しまれている伏見稲荷のご祭神です。
E
ミライザ大阪城
みらいざおおさかじょう
天守閣を見上げる本丸で2017年秋にオープンしたミライザ大阪城。その重々しい外観と耳慣れない名前からこの建物は何だろうと思う方も多いのではないでしょうか。左右対称の外観、正面玄関の半円アーチ、側面のスクラッチタイルなどが美しい西洋風の建築で、元々は旧第四師団司令部の庁舎。1931年(昭和6年)に大阪城天守閣の再建と大阪城公園の開園にあわせて建てられたものです。建設資金は市民の寄付で天守閣におよそ50万円、この陸軍施設には80万円が使われ、天下の大阪城よりはるかにお金をかけて造られたことがわかります。
1階はたこ焼きやコーヒーなどの軽食で気軽に利用できる雰囲気。大坂城跡の特別展示も見所です。一方、2階、3階のレストランはぐっと格調高くなり、春から秋口にかけては屋上バーベキュー、冬は展望カフェもオープンします。
地下には侍・忍者体験ができるアトラクションや、「イリュージョンミュージアム」があり、こちらは国内外の奇術・手品を集めた展示や、ライブマジックショーなど、あっと驚く注目の施設です。
F
大阪国際平和センター ピースおおさか
おおさかこくさいへいわせんたー ぴーすおおさか
大阪城公園の見所は天守閣をはじめ、西の丸庭園や新しくできた「ミライザ大阪城」などですが、この「ピースおおさか」があることは意外と知られていません。ここは大阪空襲に焦点をあてた平和ミュージアム。館内には、1トン爆弾の実物大模型や、実際に中に入ることができる防空壕、当時の写真や遺留品などおよそ600点の資料が展示されています。
また、1階の講堂では日に3本のオリジナル映画が定時上映されるほか、毎週土曜日の午後2時は「ウィークエンド・シネマ」と称し、月替わりで戦争・平和にまつわる映画やドキュメンタリー作品を上映しています。
この「ピースおおさか」がある大阪城公園とその周辺は、かつては東洋随一と呼ばれた陸軍兵器工場を筆頭に、多くの軍事施設が集まる地域でした。そのためアメリカ軍の集中爆撃に遭い、現在でも爪跡が残されています。それらの史跡を巡るための地図はホームページからダウンロードできるほか、受付でも解説つきのフィールドワークマップを販売しています。
G
大阪歴史博物館
おおさかれきしはくぶつかん
10万点を超すコレクションを有する大阪歴史博物館。前身である大阪市立博物館は開館した当時の所蔵品がなんとゼロ。そこから徐々に大阪の文化や歴史にまつわる史料を集め、今では大阪を代表する博物館となりました。
常設展示のテーマは、「都市おおさか」。10階の「難波宮(なにわのみや)」にはじまり、9階で中世から天下の台所にいたるまで。続く8階では遺跡発掘の解説があり、7階では大正から昭和の「大大阪時代(だいおおさかじだい)」と、活気あふれる大阪の歴史を辿る構成で、いずれも単なる資料と解説文にとどまらず、大小工夫をこらした模型や映像で体感できる展示が特徴です。なかでもおすすめは「難波宮遺跡探訪」という約20分の無料ツアー(1日6回開催)。1階の受付で申し込めば、ガイドとともに建物の地下に保存されている古代の倉庫群の遺構を見学できます。
また、ここは知る人ぞ知る大阪城の撮影スポット。10階の展望ホールから見ると、近代的なビルを背負う天守閣と、手前のお堀全体を1枚に収めることができます。
H
難波宮跡(難波宮跡公園)
なにわのみやあと(なにわのみやあとこうえん)
古代の都といえば、奈良の平城京、京都の平安京などが有名ですが、大阪にも都があったことをご存知でしょうか。
大阪の街中に突如現れるぽっかりと開けた空間。ここはかつての都、難波宮(なにわのみや)の跡地です。
645年、孝徳天皇は飛鳥から難波(なにわ)へ都を移し、大規模な宮殿を造営しました(前期難波宮)。
その後、都は飛鳥に戻りましたが、時を経た725年ころから、聖武天皇(しょうむてんのう)により再び難波に宮殿が築かれ(後期難波宮)、744年には再び都が置かれます。
翌年、都は別の場所に移されますが、難波はその後も「副都」として栄えました。
公園にある平たい石(凝灰岩)製の台のようなものは、後期難波宮の大極殿に使用されていた「基壇」と呼ばれる土台を復元したもの。丸い柱の位置が見てとれます。
また、西側には前期難波宮の八角殿を模した赤い柱の藤棚(ふじだな)があります。
現在、史跡としての整備を行っている途中ですが、近隣の大阪歴史博物館から史跡の全体を見渡すことができます。
また詳しい展示が設けられており、大極殿の実物大模型は必見です。
博物館の外には、古墳時代の高床倉庫も1棟復原されています。
I
大阪水上バス
おおさかすいじょうばす
大阪城観光とあわせて人気の水上バス。もっともポピュラーな「アクアライナー」をはじめ、「アクアmini」、大阪港を周遊する「サンタマリア」、そしてチャーター船の「ひまわり」という4つの船が運航しています。
アクアライナーは、大阪城港を発着地とする約40分のコース。船は屋根と窓がついており、全席指定。船内には売店もあり、季節を問わず快適な船旅を楽しめます。
一方、アクアminiは屋根がないオープン型。主に日曜日と祝日に片道約40分で大阪城・道頓堀コースを走ります。
一般的にお堀めぐりと言えば、川辺に柳の枝が揺れ、石垣に白壁といった城下町の風情を思い起こしますが、大阪では頑強な橋、巨大なビルなど人工物が水辺に迫り、都市の中心に水路が走っていることを実感できます。
J
造幣博物館
ぞうへいはくぶつかん
造幣局は、貨幣や勲章などの製造を主な業務とする独立行政法人で、大阪市に本局が、さいたま市と広島市に支局があります。明治の赤レンガが目を引く博物館では、古代中国の貨幣から和同開珎(わどうかいちん)、豊臣・徳川時代の大判・小判、世界各国の通貨にいたるまで様々な貨幣を紹介。通常は貨幣の表面(おもてめん)しか見えない場合が多いですが、こちらの博物館では表と裏の両面が隅々まで見えるよう工夫されています。
ちなみに、造幣博物館の英語表記は「ミントミュージアム(Mint Museum)」。植物のミントと同じ綴り、同じ発音ですが意味は「造幣局」。工芸品や貨幣のお土産を販売する売店も「ミントショップ」と呼ばれています。
また、造幣局を語る上で欠かせないのが桜です。130種以上の桜が咲き誇る1週間限定の「桜の通り抜け」は、大阪の春を彩る風物詩。毎年1種が「今年の桜」に選ばれ、花見に楽しみを添えるほか、川沿いにずらりと並ぶ屋台も名物です。