威風堂堂。
日本人の歴史と息使いを感じる日本の象徴
「富士山」エリアの観光音声ガイド13選
富士山エリア紹介
「頭を雲の上に出し、四方の山を見下ろして…」と童謡にもあるように、堂々とそびえ立つ日本の象徴でもある日本一高い山、富士山。
その美しい姿は、葛飾北斎の「冨嶽三十六景(ふがくさんじゅうろっけい)」、歌川広重(うたがわ ひろしげ)の「東海道五捨三次(とうかいどうごじゅうさんつぎ)」などの芸術作品に多く残され、西洋の画家たちにも大きな影響を与えました。
現在は休火山ですが、古来より幾度も噴火を繰り返すことから、神が宿る霊峰(れいほう)として信仰の対象になり、江戸時代には富士講(ふじこう)が組織され人々が山頂を目指すようになります。
「一富士、二鷹、三茄子」と初夢に見ると縁起がいいとされたのも江戸時代の頃ですが、これは一説によると家康が駿府、今の静岡県の名産を集め唱えたという説が根拠として強く言われています。
2013年には世界文化遺産に登録、名実ともに日本が世界に誇る象徴となりました。
登山のシーズンになると毎年20万人もの人が国内外問わず訪れる富士山。
自身の体力や経験を考慮して、ふさわしい登山ルートを登ってみましょう。
A 富士山頂の信仰遺跡群
B 人穴富士講遺跡
C お宮横丁
D 裾野市立富士山資料館
E 富士山須走ルート
F 富士山富士宮ルート
G 富士山吉田ルート
H 富士山御殿場ルート
I お鉢巡り
J 富士サファリパーク
K 富士山こどもの国
A
富士山頂の信仰遺跡群
ふじさんちょうのしんこういせきあと
日本の象徴といえばFUJIYAMA、富士山です。世界的に有名な富士山が世界遺産に登録されたのは2013年6月です。日本人の山岳信仰や葛飾北斎(かつしかほくさい)などの浮世絵の題材として描かれ、世界的に評価されていることから、自然遺産としてではなく「富士山―信仰の対象と芸術の源泉」という文化遺産として登録されました。
富士山の山頂には、人々が富士山を信仰していた形跡が数多く残っています。
地形に宗教的な名前をつけたり、山頂を曼荼羅(まんだら)の世界と捉え仏教数字である八という数字を使い、峰を八葉(はちよう)や八峰(はっぽう)と名付けたりしました。
富士山のあらゆるところに、富士山自体を御神体と考えた遺跡が多く見られます。
富士宮口(ふじのみやぐち)からの山頂には浅間大社奥宮(せんげんたいしゃ おくみや)、須走口(すばしりぐち)で吉田口(よしだぐち)頂上に浅間大社東北奥宮(あさまたいしゃ とうほくおくみや)があります。奥宮での御朱印(ごしゅいん)は富士山で採取された溶岩の砂が混ざったもので押されます。奥宮社殿(おくみやしゃでん)の横には日本で一番高所にある郵便局があり、間伐材で作られた富士ひのきメールや登山証明書、登頂証など登山の記念に多くの人が立ちよります。
明治に入って廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって多くが撤去されましたが、山頂には平安時代からの富士山崇拝の発展の名残の鳥居や石仏群(せきぶつぐん)が多く見受けられ、日本一大きい御神体のパワーを感じながら登山ができます。
ちなみに、富士山の山頂には住所がありません。
山梨か、静岡か、というところは実質どちらでもない状態です。
B
人穴富士講遺跡
ひとあなふじこういせき
富士山には噴火で発生した溶岩洞窟(ようがんどうくつ)が多く見られます。
溶岩洞窟とは、流れ出た溶岩のなかに細長くトンネル状にできる空洞のことを言い、溶岩流で覆われた樹木の跡が空洞になったものは溶岩樹型(ようがんじゅけい)と呼ばれ、その形や神秘性から信仰の対象になっていきました。
この溶岩樹型洞窟を使い修行をしていたのが山岳信仰(さんがくしんこう)の富士講(ふじこう)です。
その開祖とされる長谷川角行(はせがわ かくぎょう)は、この溶岩洞窟で苦行の末 悟りを開き、その教えが庶民に広まり数多くの富士講が形成されました。富士講は資金を集めその代表を選び富士詣(ふじもうで)をした集団の形です。
江戸時代、江戸の町は八百八町(はっぴゃくやちょう)と言われていましたが、この富士講も八百八講(はっぴゃくやこう)といわれ、富士山への信仰が厚かったことを物語っています。
洞窟内や外には碑塔がそれぞれ建てられており、内側には3基、境内には232基が存在しています。
洞穴(どうけつ)は聖域ということで入洞が禁止されていますが、一部事前申し込みをすると入れる区間もあります。
この人穴洞穴(ひとあなどうけつ)はミステリアスで、この穴が神奈川県の江ノ島に続いているという伝説もあります。土日は世界遺産ガイドが常駐しているようです。
C
お宮横丁
おみやよこちょう
富士山本宮浅間大社(ふじさん ほんぐう せんげんたいしゃ)を参拝したあと、地元グルメを食べ歩きできるスポットがここ、お宮横丁(おみやよこちょう)です。
富士宮市はもともと富士詣(ふじもうで)や富士山本宮浅間大社詣(もうで)などでできた門前町(もんぜんまち)。
今でも年間20万人は訪れる富士詣のあと、地元人気グルメを食べ歩きできる場所として賑わっています。
大鳥居の向かい側に軒を連ねるお店は、まるで野外フードコート。
テイクアウトをして広場のテーブル席で味わえます。
B級グルメで王者にもなった富士宮やきそばを始め、鱒(ます)バーガーや、餃子の町静岡の餃子、静岡のソウルフードである黒いおでん、富士山の湧き水で炊いたというあんこを使った甘味処など、ご当地グルメが味わえます。
横丁の脇には、富士山からの湧き水の井戸があり、自由に飲むことができます。
何層もの岩盤から何年もかけて染み出てきた湧き水は、バナジウムという成分を含んでいます。
血液をサラサラにしてくれる成分といわれていますので、疲れた体にはぴったりの湧き水です。
美味しい水を使っているB級ご当地グルメを、美味しい水を飲みながら気楽に食べ歩きをしてみましょう。
D
裾野市立富士山資料館
すそのしりつふじさんしりょうかん
富士山へ登山する前に富士山のことをよく知っておくことも、登山がスムーズにいく材料になるかもしれません。
ここ富士山資料館は、富士山の構造や周辺の情報などを知るためにもってこいの資料館です。
標高約880mにあるこの資料館は、古代からの富士山の成り立ちが模型や図面、周辺の植物や動物たちの生態系、富士山信仰の歴史、地元裾野市の郷土資料など、富士山をあらゆる面から再認識することができます。
富士山の地形が立体的に目で確かめられるので、登山をする前に立ち寄ると富士山登山の知識が深まります。
噴火の歴史や、周辺に生息する動物たちの剥製の展示のほか、山岳気象の観測所須山口に関連する資料も紹介しています。
自然観察や登山の歴史企画展なども開催していますので、富士山をもっと知りたい方は活用してみましょう。
E
富士山須走ルート
ふじさんすばしりるーと
富士山の五合目から頂上を目指すルートは主に4つあります。
その一つが須走(すばしり)ルートになります。
このルートは4つのうち2番目に短いルートで、上りは樹林帯が多く、六合目を過ぎる辺りまで涼しく歩けます。どちらからも富士山の影やご来光を眺められ、ドラマチックな姿を楽しめるのもこのルートです。
八合目からは吉田ルートと合流しますが、それまでは比較的空いているルートですので、初心者などマイペースに進みたい人にはぴったりです。
八合目からは浅間大社(あさまたいしゃ)境内です。
ここからぐっと緑がなくなり、人も増え、岩や小石の道をひたすら山頂を目指します。
須走ルートは登山道と下山道が別で、七合目から下は砂走りという砂や砂利の多い道になり、滑りやすいところがあります。
比較的空いているルートですので、初心者やあまり多く登山経験がない方は一度須走ルートを登ってみてください。
F
富士山富士宮ルート
ふじさんふじのみやるーと
4つの富士山登山ルートの中で2番目に人気なルートがここ富士宮ルート。
その理由は最も距離が短いということです。
時間と距離が短い分、急激に高度を上げながら登るルートですので、高山病のリスク回避も必要になります。
静岡県側から入り、静岡県側に抜けるルートの一つです。
ご来光は位置によって隠れてしまうので、どちらかというと短時間で登山に集中したい人にオススメなルートです。
富士宮ルートは上りも下りも同じルートをつかいますので、ハイシーズンはすれ違うときの譲り合いにより、渋滞します。
ひたすら登るルートなだけに、天気が良い時の駿河湾(するがわん)が一望できる景色は感動ものです。頂上には富士山八神峰(はっしんぽう)の一つ、駒ヶ岳(こまがたけ)の鳥居があります。
剣ヶ峰(けんがみね)も一番近いルートでここへ登って記念撮影する人も多くみられます。
ルート変更したい場合は六合目の宝永山(ほうえいざん)遊歩道を通って御殿場ルートへ抜けてみましょう。
下りも同じ道を急激に降りる形になるので、頂上の富士山頂上浅間大社奥宮(ふじさんちょうじょう せんげんたいしゃ おくみや)やお土産屋、郵便局などでゆっくり休憩をとり、下山しましょう。
G
富士山吉田ルート
ふじさんよしだるーと
吉田ルートは別名河口湖ルートとも呼ばれており、山小屋や救護所など設備が充実していて、週末や長い休みなどはファミリーなども多く、最も混雑する人気のルートです。
体力に自信のない人は、有料ですが五合目から六合目区間を馬に乗って登山することもできます。
吉田ルートは八合目から急にきつい登山になりますが、ほかのコースと違い遠くに見える山の稜線(りょうせん)を楽しめます。
富士スバルラインからは南アルプス、七合目からは八ヶ岳(やつがたけ)や奥秩父(おくちちぶ)、八合目からは丹沢(たんざわ)と、景色を楽しみながら下山できるのも魅力の一つです。
八合目からはどちらの方角を見てもご来光が拝めます。
富士山の本当の山頂と言われる富士山測候所(ふじさんそっこうじょ)のある剣ヶ峰とは向かい側なため、さらに一時間ほどの登山をすることとなります。
下山道は途中まで須走ルートと重なるので、分岐に気をつけて下山する必要があります。
富士山登山の初心者は混雑期を避けてマイペースでこのルートを登ってみましょう。
H
富士山御殿場ルート
ふじさんごてんばるーと
御殿場の五合目から始まり、富士登山4つのルートの中で最も標高差が大きくロングコースなのがここ御殿場ルートです。
登山道が長いため登山者が少なく混雑も避けられます。
じわじわと標高が高くなっていくので登山病などのリスクは低いですが、体力と時間を要するので山に慣れている上級者向きのコースになります。
注意したいのは、山小屋が少ないため水や食料などの万全の準備が必要になる点です。途中、体力などの都合でルート変更がしたくなった場合には、六合目でプリンスルートから富士宮ルートへ合流できます。
登山道は森のような遮るものがなく、惑星の表面のような景色ですので、ひたすら変化なく登山をすることとなります。
下山道で、砂が堆積している大砂走りは人気のコースです。こちらは柔らかい砂地ですので、巻き上げると目や鼻から入るので、ゴークルやマスクなど装備をしていくことが必要です。
午後は相模湾から蒸気が上がり靄(もや)がかかる場合があるので注意が必要です。
体力と精神力が必要な御殿場コースに挑戦してみましょう。
I
お鉢巡り
おはちめぐり
火山火口の形は鉢のような形をしています。
このことから火口をまわることをお鉢巡り(おはちめぐり)といいます。
別の一説としては頂上にある8つの峰をまわることからとも言われています。
八という仏教数字に合わせ、八神峰(はっしんぽう)を全てめぐることでご利益があると考えられていたようで、富士講(ふじこう)などの行事として行われていたようです。
富士山山頂のお鉢巡りルートは最短で1時間35分、疲労していると2時間くらいかかりますので、お鉢巡りをしたいときにはあらかじめその時間を登山時間に加えておくといいでしょう。
富士山のスケールの大きさはこのお鉢(はち)の大きさからもわかりますが、火口底が八合目まで達する深さだといいます。
また、このお鉢巡りの周り方にも右周り、左周りが選べるようですが、右周りの方が比較的、危険を回避できるといわれています。
馬の背と呼ばれる切れ落ちた崖を登るかどうかが周り方で変わるようです。
J
富士サファリパーク
ふじさふぁりぱーく
開園は1980年という老舗のサファリパークがここ富士サファリパークです。
標高850メートルという高所にあり、約70種類もの動物たちが、富士山を背景に自然の中でのびのびと展示されています。
マイカーやジャングルバスでめぐることのできる放し飼いの動物園としては日本最大級であり、CMのインパクトある歌で全国的にも有名になりました。
ジャングルバスでまわると、金網越しにクマやライオン、ラクダなどに餌をあげることができ、動物の迫力や匂いを体感できます。
小動物やカピバラ、カンガルーなどを間近で観察できるコーナーもあり、ファミリー層に人気があります。
ヒョウやゾウ、カンガルーなどこの園で生まれた動物もいます。好きな動物をかたどったジャングルバスで巡ってみましょう。
K
富士山こどもの国
ふじさんこどものくに
日本一の山、富士山を前にのびのびと遊べるのがここ、富士山こどもの国です。
東京ドーム18個分の広さの敷地には「街」「草原の国」「水の国」と3つのエリアがあり、それぞれ自然を生かしながら遊べる工夫がされています。
キャンプサイトは標高もあり、駿河湾も眺められ、夜は星空観察もできます。
春は野草、春から秋までニジマス釣り、秋はススキの草原、冬は雪遊び、と一年を通して自然を楽しめます。
高齢者やハンディキャップをお持ちの方などが一緒に参加できるように園内はバリアフリーを採用しており、点字案内板も付いています。
富士山からの湧き水が湧き出ている場所もあり、湿性の森では自然観察もできます。
ホテルやパオ、キャンプ場、オートキャンプ場と宿泊の施設も整っているので、ファミリーで滞在してゆっくりと遊ぶことができます。
地元の企業や高校、活動団体とコラボレーションしたワークショップやトレランなどのイベントも開かれています。
一箇所で富士山の の恵みを堪能する旅ができる場所です。